ステンレスベアリングは錆びる?
一般に売っているステンレスベアリングの多くは
SUS440c(さすよんよんまるし-”と読まれます。)
という材質なので油分が切れるとあっという間に錆びることがあります。
錆びると動きが悪くなり本来の動きは望めません。
釣り用のリールであれば糸の出が悪くなり仕掛けがポイントまで届かないとかドラグがまともに働かずラインが切れてせっかく釣れた魚を逃してしまうなんて事にもつながります。
メーカーに度々修理に出すというのも現実的に釣行に行けなくなってしまうのでスペアのリールを用意するとか何か対策が必要になってしまいます。
ラジコンヨットであれば弱い風の時は特に顕著なんですが他の人はしっかり風をとらえて動いているのに自分の船はブームが動かず・・・風を受けられず・・・みるみるうちに周りの船に抜かれて行って順位を落として・・・といい事なんてありません。
最悪の場合は手元に戻せず船を失う事にもつながる場合もあるかもしれないです。
日ごろからメンテナンスを行う事は勿論なんですが一度錆びさせてしまうと元の能力に戻ることはないので交換するしか対策はないと思います。
錆びにくいステンレスって味がしない?
食器等で使われているステンレスは
18ー8ステンレス
でスプーンとかだと柄の裏部分に
18-8STAINLES
と刻印があったりします。
「18-8」ですが、前半がクロムの含有量、
後半がニッケルの含有量です。
つまり、「18-8ステンレス」は、
鉄FeにクロムCrを18%、ニッケルNiを8%含むステンレスということになります。
その場合はSUS304と呼ばれる
オーステナイト系ステンレス
で錆びにくいステンレスです。
ステンレスが「さびにくい」のは、クロムがつくる表面の皮膜
(専門的には不動態皮膜といいます)
が金属内部の腐食を防いでくれています。
なので
STAIN=錆び
LES=無し
というのは言い過ぎなんですがすでにそう呼ばれているので今更ってところです。
数字が大きければ、錆びにくくなくなります。
また、金属製のカトラリーにつきものの
金気
も、ニッケルの含有量が高くなると感じにくくなります。
18-12くらいになると一般の人ではほとんど金気を感じられなくなります。
このことから、このクラスが高級ステンレスカトラリーの標準になっているようです。
18-18くらいになるとプロの料理人ですら金気が感じられなくなるレベルなんだそうです。
まあ私にはそんな高級なカトラリーを買ったことが無いので解らない世界です。
味がしない金属は溶け出しにくい=錆びにくい?
私はアウトドア用品として売っていたチタンのシュラカップを持っているんですがそれからは金気は感じられないです。
医療用機器だともっと耐食性の高い
SUS316L
という溶出も少ない材料を使います。
Lはローカーボンの略で炭素量が少ない材質です。
そのうえで電解研磨という処理を行い錆びや金属からの微量な溶出も嫌います。
こういった材料は黒染めも特殊な方法でないと出来ません。
これらのSUS300番台の材質は磁石に付かないです。
焼き入れが出来ないので他の材質と大まかな区別は出来ます。
日本の場合は・・・。
外国では通用しない場合があります。
中国でSUS316Lを指定したのに磁石が付いたなんてのもありました…。
お国柄なんでしょうか。
日本の工業規格で指定した方が悪いってことなんでしょう。
(日本の工業規格で指示するという契約ではあったのですが・・・。)
錆びないベアリングって?
話を戻します。
ベアリングに使われているステンレス鋼はマルテンサイト系です。
普通の炭素鋼製のベアリングよりは錆びにくいです。
ですがSUS440cで焼き入れ鋼なのでいずれ錆びます。
SUS304 のベアリングがあれば錆びないのでは?
と思う方もいらっしゃるかもです。
ですがそれだと柔らかすぎてベアリングとして成り立たないです。
なのでそういったものは市場にないです。
海水や気水域で使う場合はセラミックのベアリングやもっと耐食性の高い材料で特殊な硬度の高い材料を使ったベアリングを使う必要があります。
上はSUS440cのベアリングが錆びた様子です。(ラジコンヨットのブーム基部です。)
キャストップというベアリングは金属ですが海水でもかなりの耐食性があり海でも使えるという事で自分も汽水域で週一で使ってました。
希望するサイズがあれば使ってみてはどうでしょう。
現状あまり多くのサイズが無いのと小径のベアリングが主のメーカーなので採用はなかなか難しいかもです。
セラミック(ジルコニア)製のベアリング
同時に海外製の同サイズのセラミック(ジルコニア)製のベアリングも使っていますが錆びる心配がないというのはやっぱり安心して使えます。(お値段高いですが・・・。)
上はセラミック(ジルコニア)ベアリング、先の錆びたベアリングと入れ替えました。
ジルコニアというのはセラミックの材料の一種でベアリングに使われるメジャーな材質です。
ジルコニアは鋼製ベアリングに比べて衝撃に弱く、割れたり欠けたりする場合もあります。
利用する場所によっては使えない場合もあるのでテストをしてから使うなど採用する場合は慎重に検討してください。
他にジルコニアベアリングは(小径の物は特に)シールドがついている物はほとんどないので気を付けてください。
また内外輪は鋼製で玉のみジルコニアとかでもセラミックベアリングとして販売されているので内外輪、玉、リテーナーの材質やグリスやオイルに注意してください。
用途
自分の場合のの用途としては釣りで使うリールや船のラジコン等になります。
海水による耐食性が要求される用途になります。
アフターマーケットで釣り用のリール向けに交換用の高耐食ベアリングとして高額で販売されています。
工業用として良心的な値段で販売しているところもあるので頑張って探してみてください。
カッコイイパッケージとかはないですが本当の高耐食ベアリングが手に入ります。
自分はラジコンのヨットでキャストップという高耐食ベアリングを毎週のように汽水域で使っていました。
濡れては放置していましたが数年たっても全く問題なくまだ使えています。
ジルコニアのベアリングよりは半分以下で安く買えるのでたくさん買うときは重宝しています。
ラジコンヨットDF65,DF95用耐食ベアリング
キャストップ 高耐食ベアリング
http://www.nskmicro.co.jp/products/bearing/casstop.html
カタログ
http://www.nskmicro.co.jp/download/catalog_pdf/bearing/isc_castop_2019_02.pdf
DF95用として SMR106A4-H-X1ZZ ISC(NSKマイクロプレシジョン) 6×10×3
DF65用として SMR85A12-H-X1ZZ ISC(NSKマイクロプレシジョン) 5×8×2.5
95用のほうが安い( ´艸`)。
でもベアリングとしては倍以上・・・。
お高めですが都度取り換えするよりはコストパフォーマンスいいのかな~。
錆びないのであれば( ^ω^)・・・。
注文先は
です。
ジルコニア(セラミック)ベアリングも買ってみました。
以前AliExpressで購入してみましたがリンク先は無くなっていたので今買えるかどうかわからないです。
セラミックなら錆びる心配はないので安心ですね。