今回は計測値の解釈についてです。
長文で複雑な話しですので時間のある時にゆっくりと読んでいただければと思います。
IRSA(International Radio Sailing Association)の文書
IRSAからはこのような文書が出ています。
Resolution, Error and Accuracy of Measurements – IRSA (radiosailing.org)
DeepLで翻訳すると
クリックしてスクロールすると最後まで読めます。
見られない方は下のダウンロードボタンでダウンロードできます。
で結局この文書では検査する側がどういった計測機を使えばいいかというと
長さの場合は
0~50㎜の場合は
0.1㎜の分解能のある物なのでバーニア式で0.1㎜が計れるノギスであれば十分。
金尺の場合は1㎜刻みなのでこれは問題なし。
秤の場合はIOMだけを考えれば4000gを超える事を量れればいいので
5kgが計れるスケールで分解能が0.01kg
だから10g単位で表示できればいいという事になります。
でそれを0.2gの誤差以内の2kgの分銅で校正する必要がある。
これがこの文書で言う適切な最低基準となります。
誤差は絶対値(=表示される数値)の+-0.5となります。
ここでは
器差(秤や金尺の個々の計測器の精度誤差)
や
計測誤差は+-0.5には含まれてはいないです。
あくまで計測できた数値に対してどう考えるかといった文章になります。
IOMを作る場合はどのように考えるのか?。
この時IOMの場合は4000g以上がルールなので
この秤で4000g以上と表示されるのは3994.4....5g以上
表示が4000gと表示されても総重量3994.4....5g~3999.9999・・・gの
”真の重さ”
だった人は別の機会で精度の高い計測がされたとき
”不幸な人”
となる可能性があるという事になります。
なので
1g単位で量れる秤を買えばそういった不幸なケースを防ぐことが出来る。
とも書いてあります。
ではこの秤を使用した時に作る側としてどうするか
というと確実に4000g以上と確認するには
4005gと表示させる必要がある。
という事になります。
ですが船検をする側は4000gと表示されれば
検査を通さざるを得ない。
という事でしょう。
あくまでもルールの4000g以上というのはルールです。
なのでそれが優先され検査する側の人も
4000g以下というのが確認出来なければ通さざるを得ない。
つまり3990gとか表示されないとNGに出来ないという事です。
と解釈しました。
作る側としての解釈。(自分の場合)
では作る側としてどう考えるのかと言えば出来るだけ精度の高い秤を準備して
かつ4000g以上となる確実な方法を模索するという方向で製作するという事です。
つまりJISなどの公差記号で表せば
4000 -0+∞g
であればいいと解釈できます。
公差の概念が解らない方に説明するとすれば
4000~∞gの間の数値であればよいとでも言えばいいでしょうか。
4000の下の小数点以下の0はどこまで下に桁数を増やしても0です。
軽く設定する場合の限界は?。
でもこの界で利用する秤はせいぜい1g表示がいいところ・・・。
だから真の重さ4999.4....5g
を目指しておけばいいという事になるとも思います。
気持ちが解らないではないんですが( ^ω^)・・・。
でもそれをどうやって計測しその値以上であるとどうやって見極めるんでしょう。
で設定出来たとしても検査する側でもっと精度の良い秤を準備すればNGとなる可能性は残ります。
自分の場合は1g表示の秤ですがその直線性が±2gあるので
そこを考慮すると確実に通すためには4002gと表示されるようにする
というのが良いという事になります。
この時使用する秤が仕様通りの正確さが維持されているとすれば真の重さは
4000g~4004gの範囲内にあるはず
なので4000g以上であると言えると考えます。
秤がその仕様通りの正確さを維持しているなら( ^ω^)・・・。
その理由は校正していないので数値が狂っている可能性が無いとも限らないです。
そこはどうしてもリスクとして残ります。
そのリスクを解消しようとして分銅を買って校正しても
その分銅の検定をして維持しなくてはならないです。
なのであまり現実的ではありません( ^ω^)・・・。
検定も有効期限があるので( ^ω^)・・・。
今の自分の秤でやるならこの辺が限界でしょうか( ^ω^)・・・。
判断の方法の別の考察
他には感度の高いシーソー型の天秤を準備して分銅を4kgと2.5kgの物を準備。
でその分銅のみを検定で維持するとかでしょうか。
それなら検定の維持もそれほど負担にならないので現実的かもですが・・・。
その時は他の数値は判断出来ないので使いにくいです。
ですが判断は該当数値はかなり正確に判断出来そうです。
そんな感度の高い天秤を設置したり維持するのはそれはそれで現実的ではなさそうにも思います。
となるとこの方法は
検査する側の方の判断のための準備
としては良さそうですが数値を求められるはずなのでその場合はダメかもです。
機械加工の時の考え方を当てはめてみる。
機械加工の時の基本的な考え方として
工作用と検査用では工作用のほうが精度が高く検査用はそれ以上の緩さで検査を行う。
というのが機械加工の世界では一般的です。
でないと作る側は
不良となる場合が多くなり経済的でないし
納入される側は数が足りなくなったりで生産が滞ったりという事になります。
今回の場合はそういった話ではないです。
ですが検査をする側とされる側といった関係はよく似ているとも思います。
そういった考えで話をすれば
検査側の計測器より精度高く前もって準備しておき検査に臨む。
といった考えで準備する必要がある。
ともいえるのではないかと考えました。
これであれば
検査の時に検査に落ちるという不幸なことは減らせる。
のではないかと思うんですが( ^ω^)・・・。
その場合検査する側の計測器の精度を公表する。
という事にもなるのでそれはそれで問題にもなりそう・・・。
そこは基本的に公表が無いと考えるのが自然だとも思います。
今回の船検の場合はどう考えるか。
なので作る側=検査を受ける側は
既定の重量や寸法を自分の計測器の範囲で確実に通る数値で製作をしておく。
という事が重要なんだと思います。
むやみにその計測器の精度を低く見積もったりすれば
その分船検に落ちるリスクを取るという事になります。
ここを理解していればそのリスクを取って船検を受ければいいと思います。
それは船検を受ける側の取るリスクです。
なのでその見極めはその人の考え方なので私はそこにコメントするつもりはありません。
これはあくまで自分の考え方なので
何かこうすれば検査に通るという事を言っているわけではないです。
当たり前の事なんですが・・・。
当たり前ですが
検査で落ちたらその部分を修正して再度検査を受ける。
そこを対応しないとその船は検査に通ることは無いと思います。
検査を受けるにあたり
自分の場合はこう考えるという事を示しました。
ですがそこにはリスクもあります。
器差や計測誤差については今回話題として考慮していません。
ですからそういった事を含めればさらに問題は複雑になります。
検査を受ける時はさらに考慮事項は増えます。
ですがそこは検査をする側の方の考えを受け入れる必要があります。
基本的には検査をする方はその”資格”を持っています。
ですが自分はその資格を持っていないというのが普通ですから・・・。
実際に検査を受け証明を受ける場合は
検査をする方の計測の方法や指摘を受け入れ従う。
というのが前提です。
それをはき違えると単に申請が通らないという結果が残るだけかと思います。
是非!ルールに従った船を製作してフェアなレースを楽しんでください。
自分の秤は
A&D デジタルはかり バリューパック HT-5000-JAC ≪ひょう量:5100g 最小表示:1g 皿寸法:132(W)*130(D)mm JCSS校正付≫
になります。
記事
R0.0 新規作成 2023.12.19